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2021年度第1回採集観察会の報告

期 日:2021年4月18日(日)
場 所:三重郡朝日町柿,井後(イジリ)神社及び朝日町埋縄(ウズナワ)
参加者:貝發憲治、加藤修朗(2名)

新型コロナウィルスの影響で,昨年度の談話会定期採集観察会はすべて中止となったので,本年度は昨年計画した内容で再度実施することになった.4月の第1回採集観察会は三重郡朝日町である.この町は桑名市と四日市市の間にあり,隣の川越町とともに市町村合併をしなかった面積の小さな町である.大部分が市街地の町という先入観から,今まで会としての調査は全くしていない.熊田憲一さんが過去に一度調査をしたことがあることから,今回の第1回採集観察会担当としてこの町を選んでもらった.そして,昨年度に細かな下見も兼ねて調査をされているので,町の様子や採集適地3カ所ほどを詳しく教えてもらった.

朝日町埋縄の風景(左側は竹林が続く)  コロナ禍の中,行動自粛をする人が多く結局参加者は2名になった.そこで,連絡を取り合って第1調査地の井後神社駐車場に10時集合と場所を変更した.昨日の雨もやみ,天候は良さそうだ.遠方のため早めに出かけたところ,二人とも9時30分にぴったりと到着.1年ぶりの再会であるが,コロナ対策の重装備の中で携帯電話越しに簡単な話をしただけで,すぐさま思い思いに採集に入る.

シフティングする加藤さん 街中とはいえ大きな神社である.私はまず境内の雑木やヤブツバキの林で,いつものビーティングを開始する.ネコグモやアサヒエビグモばかりが沢山入る.植相が単調なのでこんなものかも知れない.リターも多く見られたのでしばらくシフティングをしてみるが全く採れない.次に建物の周りや灯籠,神社林,裏手の石段や崖等を細かく観察する.ヒラタグモがやたらと多かった.加藤さんは神社入口の鳥居のすぐ横にある小公園や,神社周辺にも足を伸ばして熱心に観察している.11時30分に予定より少し早いが駐車場に戻ると,加藤さんも成果なしと言ってやってきた.早々に切り上げ,第2調査地の埋縄に向かった.ここは,市街地から少し離れたところで,四日市市の山村ダムのすぐ東側斜面に位置する竹林と麦畑の多い丘陵地であった.朝日町にも自然の多い場所があることが分かった.空き地に車を止め,ここで各自密を避けて車の中で昼食をとった.

 何もすることがないので,休憩もなく12時15分より午後の採集を開始.道路脇の雑木をビーティイングしていると,軽トラのお爺さん(ん?自分と同じ年頃かも)が話しかけてくる.「この場所は,まだ朝日町内ですか?」「この道の行き止まりから向こうが桑名市やな.あんた,何しているんや」「虫取りです」「虫採ってどうするんや」「名前を調べてまとめるんです」「博士か?」「博士じゃないですよ」「こんなところで虫採ってるのは博士やろ.まあ,畑や林に入ってもええわ.この辺の竹林は皆農家の所有や.タケノコ泥棒が毎日来るので,巡回してるんや.イノシシ用の罠もようけ仕掛けてあるので注意しな」.コロナのため普段あまり出歩けないので,久しぶりにだだっ広い自然の中で田舎の人と話すと気持ちも晴れ晴れして楽しい.その後も2〜3人の人が気軽に話しかけてきた

ヒゴユウレイグモ クモの種類もまあまあ集まったので次に沢山ある竹林の中へ移動する.お目当てはもちろんヒゴユウレイグモだ.切り倒した細めの竹が朽ちて地表にいくつも転がっている.雨で濡れていることもあって手で割ると簡単に開けられる.すぐに3頭のユウレイグモが見つかる.小さい無斑のクモで腹部が丸く,明らかにユウレイグモやイエユウレイグモではない.ルーペで見て可能性大と確信する.他の竹からも次々に出てくるが,皆逃がしてやった.ヒゴユウレイグモを採りたい人は,ぜひ埋縄の竹林へ行くとよい.

ヒゴユウレイグモ ヒゴユウレイグモ










2時間程経ったので,最後にダム湖から流れ出す渓流と小川,麦畑の畦,荒地で地上徘徊性のクモを探した.加藤さんは道の反対側の坂道を登り、ミカン園を通り抜けて丘陵地の上の方を中心に回ってきたらしい.3時になったので本日の採集はここで終了.いろいろな話はまた夜に電話ですることにして解散,帰路についた.加藤さんはどんなクモを採集できたのか,楽しみである.
[貝發 記]


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