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2016年度 合同合宿の報告

期 日:2016年7月30日(土)〜31日(日)
場 所:伊賀市沖,大村神社周辺,伊賀市比土
参加者:

大久保芳博,大久保恭子,太田定浩,緒方清人,貝發憲治,加藤修朗,熊田憲一,
塩崎哲哉,柴田良成,杉山時雄,筒井明子,野ア健太郎,船曳和代 [13名]

記念撮影
中部三重合同合宿快晴の下で

 2016年7月30日待ちに待った合同合宿の始まりです。柴田さん筒井さんと3人で名古屋を出発!初めは「今年は雨か・・」と心配でしたが、合宿地の伊賀に近づくにつれ天候は回復へ、集合場所の旅館伊勢慶に付いたときには気持良い快晴となっていました。伊勢慶でのブリーフィング後すぐさま観察地の不動寺周辺へいざ出陣。

シロオビトリノフンダマシ  不動寺に到着した時には肌を焼く様な暑さになっていました。寺の脇道より上り始めるとすぐさま滝のように汗が流れ出し、木陰で涼を取りながら休み休みの進軍となりました。蜘蛛たちもこの暑さには参っているようで[コシロガネグモ]は第一及び第二脚を網から離して、ぶら下がるような恰好で陽に当たる面積を減らしているようです・・なんともだらしない恰好です(笑)。僕は井戸水で顔を洗いクールダウン!坂をさらに進むと、墓アカイロトリノフンダマシ地に行き当たり、入り口左脇には上りの土手があり、その上のササ原が目に飛び込み[トリフン]!と思い付いたと同時に土手を駆け上がっていました。周辺を探していると、後から来た大久保さんが坂の下からのぞき込む恰好で、いとも簡単にそれ[トリフン]と指をさして見つけてしまいました。(心の中では一番手柄を取られた気分でがっかり(笑))。その後は、大久保夫妻、柴田さん、筒井さん、船曳さんで回りを探してみると[シロオビトリノフンダマシ、アカイロトリノフンダマシ、トリノフンダマシ]と次々に見つかっていき、トリノフンダマシがこれほど簡単に見つかるとは・・ありがたみに掛けると贅沢な不満を漏らしてしいました。皆でわいわい蜘蛛を探しながら墓地を一周。通ったルートを見渡して改めてここは墓地だったと思い出して、心のなかで「お騒がせしました・・」と一言、頭をぺこりして日中の観察会は終わりです。

 伊勢慶へ戻り夕食に舌鼓。夜の観察会はお宿から歩いて10分程の大村神社。何時も思うのですが、夜間に一人で蜘蛛の観察ほど怪しいものはありません(笑)。10人以上集まった今夜は何のためらいもなく胸を張っての夜間観察会スタートです。しばらくするとあちらことらで歓声が上がり、僕も何か見つけなくては・・と必死に探し遂に大物を発見!手を上げて「スズミグモ」と叫ぶと、皆が集まり「ホントだ」「♂がいる」などと騒いでくれたのを確認!今日の初手柄と意気揚々♪♪本日を心置きなく終わることができて大満足v( ̄ー ̄)v。

懇親会  夜は少しのお酒を交えての懇談会が始まりました。そこで貝發先生が図鑑の外雌器の挿絵には間違ったものがあるのではと、緒方先生に同意を求めると、うん違うと即答!僕は、”あ”みんなそう思っているんだと胸をなでおろし。(僕の使っている20倍の実体顕微鏡ではもともと無理があるのですが・・外雌器の話が出る度に高倍率の実体顕微鏡が欲しくてたまりません・・)興味深いお話しを聞くことができ楽しい時間でしたが、夜が更けるのは早いもの・・もう一晩欲しい処でした。

採集風景  7月31日翌日は比土の田圃で熊田先生と合流。農家の方々はとてもフレンドリーで見ず知らずの私たちに色々と教えてくれました(イノシシのヌタ場の事や、電気柵の電源は乾電池で4カ月持つなど・・初めて聞くことばかり)大久保さんと採取した蜘蛛を、見た目で同定をしていると「ヤミイロカニグモ」と言ったところで、熊田先生よりこの周辺には似たカニグモだけでも3種類はいるので外雌器を見て判断しないとダメですとご注意を受けました。この一言で昨夜の話を思い出し、さらに高倍率の顕微鏡が欲しくなってきました。

 この文章を皆さまがお読みになっている時には、新しい実体顕微鏡を購入しているかもしれません(笑)。あっという間に時間は過ぎて・・待ちに待った合宿ですが、残念ながら終わるのはなんと早いのでしょうか・・。後ろ髪を引かれる思いで解散となりました。帰りは来たとき同様、柴田さん筒井さんと採取した蜘蛛の話を交えながらゆったりドライブ(ドライブ中の話も書きたいのですが、またの機会に題名は決まっています「筒井さんとナカムラオニグモ残酷物語」(笑))

 最後になりますが、今回の合宿を企画して頂きました三重談話会の皆さまありがとう御座いました。とても勉強になり、感じのよい旅館で美味しい食事、快晴の天気(笑)までご用意頂き本当に楽しい2日間でした。来年は中部蜘蛛懇談会で負けずとも劣らない企画で三重談話会の皆さまをご招待させて頂きますのでご参加の程よろしくお願い申し上げます。【加藤 記】





 初瀬街道の老舗旅館 伊勢慶  今年の合同合宿は三重県担当である.総会で場所は伊賀地区と決定したが,交通の便がよく,十数人が懇親会もできるリーズナブルな宿があり,採集適地を探すとなると一苦労である.採集地は散々探し回った結果,結局今年定期採集している場所が最も良いということになった.問題は宿舎である.インタネットで調べてもさっぱり要領を得ない.最後は伊賀市役所青山支所の方に泣きついたところ,支所のすく隣にあるという初瀬街道の老舗旅館を紹介してもらった.なんと伊賀に来るたびよく立ち寄った有名な酒蔵の真ん前である.探せばあるものである.気さくな女将さんで合宿内容を話したところすっかり興味を持ってもらい,その後1時間ほどクモ談義をしてしまった.

 第1日目 7月30日
 兵庫県姫路市や四日市市,南伊勢町から電車で来る3人の方を青山町駅で迎え,コンビニで弁当を買った後,集合場所の青山支所駐車場に着くと,愛知県などから車で来た人達は,既に樹木のクモ観察をしながら待っていた.旅館で昼食を摂った後,13時から太田先生の挨拶で合宿開始となる.日程説明が終わると,車を連ねて30分ほどの伊賀市沖へ向かった.今年も焼けつくような酷暑の中,体調に気をつけながら16時過ぎまで採集観察を行った.田はすべてイノシシやシカ除けの柵が張り巡らされ入れない.山道に向かうと脇道もいくつかあり,ビーティングやシフティングができる程よい場所が続いていた.しばらくすると大きな音の草刈り車が下ってきた.手製の草刈り機を取り付けたものだそうで,お互いに邪魔にならないか遠慮しながら世間話をした.ここでの採集は今一つというところで普通種ばかりであった.しかし,寺(不動院)の裏道を通って観察に行った一行は,いろいろなトリノフンダマシや興味あるクモに出会えて大いに満足したようである.暑い中皆よく頑張った.最後に記念撮影をして旅館に戻った.

 休憩,入浴など自由時間を過ごして,18時から夕食懇親会となった.美味しい料理を囲みながら,自己紹介をしたり,仕事の厳しさや生活をしていく苦労話,女将さんから伊賀市の話を聞きながら楽しいひと時となった.
夕食懇親会  20時から500m程離れた大村神社周辺で夜の観察会.昼間とは違ったクモの様子が沢山見られて面白かった.スズミグモ,リュウキュヒメグモ,ワキグロサツマノミダマシ・・・・等々,皆熱心に見て回った.22時からは大部屋でクモ談義や同定会.昼の採集標本をもとに話し合う人,同定ポイントの解説,専門的な話に夢中の人など有意義な時間である.最後まで残った人は1時過ぎまで話が続いた.

 第2日目 7月31日
 7時から朝食と身支度をし,旅館の玄関前で記念撮影後,本日の採集地である伊賀市比土の里山へ出発.昨日に続いての酷暑,少々疲れも残っているので無理をしないようにと確認して,11時30分までの予定で思い思いに採集や観察、写真撮影をした.
キクメハシリグモ探索今回の大きな目標にキクメハシリグモ成体の採集がある.4月に杉山さんが河川の下草から幼体を,6月に私が河川の石下から雌亜成体を採集しているので,こういった場所を目印として5名の者が一心に捜索した.1時間半ほどかけて隈なく探したが,残念ながら今回は採集できなった.生息個体数はあまり多くないようだ.アオグロハシリグモやクラークコモリグモ等が確認できた.その後は,皆で休閑田やスギ林,湿地,道路沿いの雑木林,雑草地等の里山環境のクモ観察を楽しんだ.産卵後のセマルトラフカニグモはトラフカニグモのように腹部後端がとがっているので要注意,ここは標高からするとセマルが多いのではないかとの話も聞いた.

 最後に,旅館で肉どんぶりの昼食を食べ,緒方さんのまとめの話と閉会の挨拶があって,13時過ぎに2日間にわたる本年度の合同合宿を無事終了した.【貝發 記】  


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