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2013年度第3回採集観察会(中部蜘蛛懇談会との合同合宿)の報告

期 日:2013年7月27日(土)〜28日(日)
場 所:


松阪市飯高町木梶 木梶林道木原橋付近
松阪市飯高町赤桶 宿舎「つつじの里荒滝」周辺
松阪市飯南町粥見 菅原神社周辺
参加者:



大久保芳博,大久保恭子,緒方清人,貝發憲治,加藤修朗,澤矢朋貴,
澤矢由佳,澤矢琴音,澤矢明音,塩崎哲哉,柴田良成,須賀瑛文,
杉山時雄,角野智紀,角野敦子,角野映,角野瓢,角野穂水,筒井明子,
中根洋次,中根翼,船曳和代 (計22名)

 3年ぶりに三重県担当になった合同合宿は,要望の強かった三重県西部地域での開催としました.下見を重ねて,山地環境では奈良県境に近い高見峠付近の木梶川林道を,里山環境では飯南町粥見を選定しました.心配をよそに直前に沢山の参加希望がでて,結局,総勢22名の盛大な採集観察会になりました.

 第1日目 7月27日
 兵庫県姫路市や岐阜県可児市,多治見市から電車で来る5人を11時に松阪駅で迎え,2台の車で集合場所の道の駅「飯高駅」へ向かいました.市街地通過に予想外の時間がかかり遅刻は確実,連絡をとって集合場所に来ている人は道の駅で昼食を取りながら待ってもらうことにしました.遅れて到着した我々8人も大急ぎで昼食を済まして,12時20分から休憩所前で開会式.中部蜘蛛の緒方会長の挨拶と日程等の説明の後,8台の車を連ねて一路高見峠を目指します.昔と違って道がよく整備されたが,それでも遠い遠い.さらに林道は道が狭く大きな駐車場所もないので,高見トンネル手前の駐車場で大型車は乗り換え,やっとのことで現地に到着しました.

記念撮影  早速採集準備をして,まずは元気なうちに記念写真の撮影,13時30分から16時まで採集観察をしました.初心者は熱心に指導を受け調査風景ながら,ベテランはこの地の目的のクモを求めて,それぞれ観察や採集を進めます.崖の窪みで卵のうを抱えたアケボノユウレイグモが多く見つかりました.三重県レッドデータブック(RDB)の準絶滅危惧種に指定されているクモです.洞穴外ではこんな環境に生息していることが分かりました.オダカグモ,ヤマオニグモ,イシサワオニグモ・・・・皆時間の経つのも忘れて観察します.予定の時間を30分も過ぎてようやく採集会を終了,まだまだ観察したい気持ちを抑えて林道を後にしました.

夕食風景  来た道を1時間かかって戻り,17時30分に宿舎に着きました.ここは10年ほど前の合同合宿時にも宿泊し付近を調査したところです.隣接するキャンプ場も賑わっており,その時の参加者数人は,皆昔を思い出して懐かしんでいました.休憩,散策,入浴など自由時間を過ごして,18時30分からは夕食懇親会です.美味しい川魚や山菜料理を囲みながら,自己紹介をして楽しいひと時となりました.

20時から付近の山道で夜の観察会,昼間とは違ったクモの様子が沢山見られて面白いです.ワキグロサツマノミダマシがいくつも造網しています.ジョロウグモの幼体も多い.ヌサオニグモ,イオウイロハシリグモもいます.シみんなでクモ談義ロオビトリノフンダマシ,オオトリノフンダマシも見つけました.皆ワイワイガヤガヤと言いながら熱心に見て回りました.宿舎に戻り,22時からは大部屋でクモ談義やクモの勉強会です.ビールやお茶で喉を潤しながら,実体顕微鏡を使って同定のノウハウを教えてもらう人,昼の採集標本をもとに話し合う人,クモ図鑑や書物に目を通す人,専門家から明日の網採集の仕方を教えてもらう子ども達,このような自由な会話を通して普段聞けない細かな知識が習得できるのです.こうして第1日目の日程は終了しました.

 第2日目 7月28日
網の標本作り  7時から朝食と準備,宿舎の玄関前での記念撮影後,本日の採集地である飯南町粥見菅原神社へ出発です.昨日に続いての酷暑,少々疲れが残っています.約40分で神社着.11時30分までの予定で,神社境内と周辺里山の観察、採集をすることにしましたが,早くも神社境内で色々なクモに出合います.ヒラタグモ,オオヒメグモ,ツリガネヒメグモ,ジグモ,樹皮上で5個のキノボリトタテグモの巣も確認,皆写真撮影に夢素敵な網の標本ができました中です.子ども達はボール紙とラッカーを使って網の標本作りをしています.神社からなかなか他の場所へ移動できないので,私は気持ちを変えて茶園や雑木林を見ながら里山環境のクモを探すことにしました.そして,300mほど行ったクリ林の中でスズミグモを発見,きれいなドーム網に幼体の雌が占座しています.何度見てもきれいな網と美しいクモです.すぐ横のツツジの葉裏にはトリノフンダマシがいました.また,雑草地では立派なコガネグモも発見しました.神社にいる皆に報告し暑い日差しの中を移動,ここでも順番に写真撮影と相成りました.あっという間に終了時間となり,気持ちはもっと調べたいところですが,この酷暑に身体は皆もう限界,境内で休みながら寿司弁当の昼食をとりました.

 最後に,緒方会長を中心にこの2日間で確認したクモ合わせを行いました.木梶川林道で19種,宿舎周辺で35種,菅原神社周辺で33種のクモが観察できましたが,この時期としてはやや少ない結果です.しかし,皆で勉強しながらの採集であり,一心に種を求める調査とは異なるのでまあこんなものでしょう.正式には,採集した標本同定をもとに種を確定するので,同定結果を持ち寄れば種数はもっと増えるものと思います.ここでも話しが盛り上がりましたが,遠方の人やこの後引き続いて別の調査に行く人もあるため話しを打切り,閉会の挨拶があって12時30分に本年度の合同合宿を終了しました.

 車で来られた人はここで解散し,私は電車で帰る人を乗せて松阪駅までお送りした後帰宅しました.今年も気が置けないクモ仲間との楽しい有意義な合同合宿を無事に終えて大満足というところです.   [貝發 記]


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