三重クモ談話会ホームページ<観察と採集

クモの観察と採集

目次  

クモとはどんな動物か  

体のつくり  

雄と雌の見分け方  

採集のしかた  

採集するときの注意  

標本のつくりかた  

参考になる本  





クモとはどんな動物か

クモとはどのような動物でしょうか。クモも虫(=昆虫)の仲間だと思っている人もいるようなので、まず、クモの分類学上の位置を確認しておきましょう。例えば昆虫は脚が3対であるのに対して、クモの脚は4対あること、体のつくりが昆虫は頭部・胸部・腹部の3つに分かれているのに対し、クモでは頭胸部・腹部の2つに分かれているなど、外部形態的に見てもクモは昆虫と異なることが分かります。

 
クモの分類上の位置 クモの分類上の位置
 
クモと昆虫の体のつくりの比較
 クモ昆虫
体のつくり 頭胸部・腹部 頭部・胸部・腹部
脚の数 4対(8本) 3対(6本)
 単眼(ふつう8個) 複眼と単眼
その他 触肢がある
 糸疣から糸を出す
 触角がある
 ふつう2対のはねがある

分類学上は昆虫もクモも節足動物門という仲間にはいりますが、更に詳しく分類すると、昆虫は昆虫綱、クモはクモ綱という別の分類単位に入ります。クモ綱の中にはサソリの仲間が入るサソリ目やダニの仲間が入るダニ目といった更に小さな分類単位があり、クモの仲間はクモ目という分類単位に入ります。実はクモは昆虫の仲間よりはダニやサソリと縁の近い生物なのです。クモの分類上の位置


目次へもどる



体のつくり

   
体のつくり 体のつくり
体のつくり

目次へもどる



雄と雌の見分け方

クモは幼体(子ども)の時は雌雄の区別がつきにくいものが多いです.しかし成体(大人)になると
     雄:触肢の先端がふくらみ、複雑なつくりができる
     雌:腹部腹面に外雌器ができる
ことにより,雌雄の区別がつくようになります。

【雄】
 
ムツバハエトリ雄
ムツバハエトリの雄 触肢の先端がふくらんでいる
いろいろなクモの触肢のつくり
 
ハナグモの触肢 カニミジングモの触肢 マイコフクログモの触肢 オオクマコブヌカグモの触肢
【雌】
コガネグモ雌の腹面
コガネグモ雌の腹面 外雌器ができる
いろいろなクモの外雌器
   
アサヒエビグモの外雌器 ホラズミヤチグモの外雌器
キザハシオニグモの外雌器 クロチャケムリグモの外雌器

目次へもどる



採集のしかた

見つけどり

眼で探して見つけて採集する方法です。
 クモは、地表や草の茂みの根本、土の中に穴を掘って、石や倒木の下や落ち葉の下、樹木の枝の間や幹の表面、皮の下、石灯籠のすきま、ベンチやガードレール、看板、家の壁や軒先、小川の岸辺や水面の上、渓流の水しぶきがかかるようなところや、海岸の満潮になると海面の下になるようなところ等実にさまざまなところにすんでいます。クモを探すときには、クモ用の眼をもって丹念に探すことが大切です!
 網を張るクモ(造網性のクモ)の場合はまず網を探します。空間に張られている網は、天気の良い日には輝いて見えるため、また、雨の日などは水滴がついて見つけやすいですが、曇の日や日陰などでは見つけにくいものです。空間に浮かんでいるゴミや枯れ葉等に注意を払うことにより、網の存在に気付くことができます。また、クモはいつも網の中心にいるとは限りません。網の周囲の枝葉の陰に隠れていることもあります。
 歩き回っているクモ(徘徊性のクモ)などは偶然の出会いに期待するほかない面もありますが、弁当を食べているとき、休憩しているときなどにも、あたりに気を配っていると、ひょこっと顔を見せることがあります。しかも珍しいクモが!
 クモを見つけたら、採集する前にクモのようすをよく観察しましょう。そして、気のついたことはメモしておきましょう。あとで名前を調べるときの参考になります。

ビーティング(たたき網法)

ビーティング 木の枝や茂みを棒でたたいて、木の枝や葉っぱのすき間等にひそんでいるクモを下に落とし、ネットなどで受けて採集する方法です 。

スイーピング(すくいとり法)

スイーピングじょうぶな枠の昆虫網で草むらなどをすくうようにして採集する方法です。

シフティング(ふるい法)

シフティング落ち葉などを目のあらいざる(食器を洗ったあと入れるかごなどで代用)などに入れ、それをふるって中にひそんでいるクモを採集する方法です。


目次へもどる



採集するときの注意

  • クモを手でつかんではいけません。クモの体は柔らかいので、手でつかむとつぶれてしまいます。アルコールの入ったびんに直接落とし込むか、フィルムケースなどに追い込んでつかまえます。小さなものは、吸虫管を使うとよいでしょう。
  • クモの名前を調べるには、大人(成体)でないと難しいものが多いです。子どもは逃がしてあげましょう。
  • 必要以上に採集しないようにしましょう。
  • 生かして帰る場合は、1匹1匹別の入れ物に入れるか、ビンの中を綿や草の葉で区切っておくようにします。でないと、共食いをしてしまいます。
  • 採集する前に、クモのようすをよく観察しよう。そして、気のついたことはメモしておきましょう。あとで名前を調べるときの参考になります。
  • 採集場所を変えるときは、標本を入れるびんも別のものに変えましょう。でないとどこでとったクモか分からなくなってしまいます。
  • 観察や採集のために石や倒木をおこして調べたときなどは、観察した後はおこした石や倒木は元通りに戻しておきましょう。石や倒木の下の小さな環境も、彼らにとっては生きていく上での大切な環境です。



目次へもどる



標本のつくりかた

標本は、管ビンやスクリュー管、小さなビン、フィルムケースなどに1匹ずついれ、75%エタノール(消毒用アルコール)を入れて、液浸標本にします。アルコールが蒸発してしまわないように注意しましょう。また、少なくとも採集場所、採集年月日、採集者を記入したラベルを一緒に入れておきましょう。このとき文字は鉛筆で書くこと(インク等だと溶けてしまいます)。

目次へもどる



参考になる図鑑や本

※出版社の廃業や,絶版,品切れ等により手に入りにくいものも含まれています
図鑑

 小野展嗣(編著) 『日本産クモ類』 東海大学出版会,2009年
  千国安之輔 『写真日本クモ類大図鑑 改訂版』 偕成社,2008年
  新海栄一 『日本のクモ』 文一総合出版、改訂版,2010年 
  新海栄一・高野伸二 『クモ基本50』 森林書房,1987年
  新海栄一・高野伸二 『フィールド図鑑クモ』 東海大出版会,1984年
  八木沼健夫 『原色日本蜘蛛類図鑑』 保育社,1986年
  中平清(監修) 『学研の図鑑 クモ』 学習研究社 昭和51年
  谷川明男  『日本産コガネグモ科ジョロウグモ科アシナガグモ科のクモ類同定の手引き』 日本蜘蛛学会 2007年
  吉田哉  『日本産ヒメグモ科総説』 日本蜘蛛学会 平成15年

クモについて

 新海栄一・新海明 『おどろきのクモの世界』 誠文堂新光社,2009年
  船曳和代・新海明 『クモの網』 INAX出版,2008年
  池田博明・新海明・谷川明男 『クモの巣と網の不思議』 文葉社,2003年
  小野展嗣 『クモ学』 東海大学出版会,2002年
  大崎茂芳 『クモの糸のミステリー』 中公新書,2000年
  宮下直(編) 『クモの生物学』 東京大学出版会,2000年
  ヒルヤード(新海栄一・宮下直ほか訳) 『クモ・ウオッチング』 平凡社,1995年
  吉倉真 『クモの生物学』 学会出版センター,1989年
  梅谷献二・加藤輝代子(編) 『クモのはなし(1)(2)』 技報堂出版,1989年
  吉倉真 『クモの不思議』 岩波新書,1989年
  八木沼健夫 『クモの観察と研究』 ニューサイエンス社,昭和50年


目次へもどる


このページのトップへもどる

ホームページ トップへもどる

inserted by FC2 system